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2006年5月28日 (日)

建築の風景;高輪の息遣い 4

(*2006/11/30 一部追記)
旧竹田宮邸を後にクランクの道を進むと、「味の素」創業者である鈴木三郎助氏の旧宅を左手に、二本榎通りへ至ります。
2006_050074640 旧鈴木三郎助邸は二本榎通りに面して玄関を構え、「味の素記念館」として一般公開されていましたが、誠に残念なことに(趣味人にとって...)、取り壊しの後、2004年12月、「味の素グループ高輪研修センター」に装いを変えてしまいました。
今も残る釉薬タイル貼のコンクリート塀は、当時の面影を止めていますが、当時、塀の上に顔を見せる家並みが、邸内のたたずまいを伺わせていました。
この道は、高校生の時分、通学路でもありました。高輪教会の前から都バスに乗っていたのですが、この壁の奥で息を潜める邸宅の息遣いを感じながら、品川駅まで歩くのも好きでした。

二本榎通りに沿って柘榴坂に向かうと、通りに面して旧北白川邸の門構えがありました。
1884(明治17)年、北白川宮家二代の能久王が、J.コンドルの手によって紀尾井町に宮邸を完成させていましたが (後に宮内省により買い上げ、1924年李王旧邸として下賜。** 06/11/30追記 => 現在の「赤坂プリンス別館」と書きましたが、うっかり、勘違いしていました。別物ですね。後者は、1930(昭和5)年竣工で、宮内省内匠寮の手によるものということです。j.コンドルの手による前者については、国立科学博物館の収蔵図面の説明によれば「煉瓦造2階建一部3階建のほぼ正方形に近い平面で、1階を接客用、2階を居住用とし、木造の和館と渡し廊下で接していた」と表現されています。)、 三代の成久王は、1909(明治42)年、明治天皇第7皇女である房子内親王を宮妃に迎え、1912(明治45)年には、ここ芝高輪南町に宮邸を竣工させています。
設計は、1911(明治44)年竣工の竹田宮邸に引き続き、宮内省内匠寮の片山東熊と木子幸三郎が手がけています。(その後、木子は1922年に独立し、1932年に前出の「鈴木三郎助邸」を設計することになります。)

2006_05040037640 ご承知のとおり、現在は、衆議院議員宿舎と新高輪プリンスホテルの敷地となっていますが、かつての痕跡は残っていなように思います。(経緯については「ミカドの肖像」に詳しい)
子供の頃、通りに面した塀の切れ間から、和館の一部を垣間見ることが出来ました。古い塀の向こうに、何故広大なゴルフ練習場があるのか、何となく不思議で、洋館(当時、東京プリンス会館)脇の門から、大人の目を気にしつつ、塀の向こうに出没したことを覚えています。
「国際館パミール」前の「門柱」と、左右の塀瓦を冠した「袖塀」が当時の雰囲気だけを伝えていますが、ホテル建築前の塀とは様式が類似しているものの、再現したものでしょう。ただ、門柱については見覚えがあるような気もするするので...(¨;)、要調査です。

3回にわたり、高輪の旧皇族の邸宅について簡単な跡付けを試みてきましたが、これまで登場してきた旧皇族が、非常に近い血縁で結ばれていたこと、また、同時代に大きな共通項の中で、皇族としての生き方を模索していたことを垣間見ることが出来ました。
その共通項のひとつであり、各家の行く末にも影響を及ぼすのが、フランス文化(名目上は、軍事留学として)への傾倒であったと言われますが、それは、パリからノルマンディーに向かう国道13号線で、1923(大正12)年4月1日に起きた自動車事故をきっかけとして、ひとつの転機を迎えることになります。

次回は、二本榎の町歩き記事を予定しています。

*参考 猪瀬直樹氏の「ミカドの肖像」の他、H.FUKさんの「西武グループの歴史(個人的趣味です)」、その他関連HPの参考にさせて戴きました。

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コメント

カークさん
コメントありがとうございます。
「高輪の息遣い」は、これまでの宿題を整理してみたものですが、カークさんや都市徘徊blogのasabataさんにだいぶ刺激を受けましたので、あとは「町歩き編」を企画しております。なるべく重複にならないようにしますので、よろしくお願いします。
その後、「白金台の息遣い」を予定しています。あまり、講釈はできませんが、アール・デコのあの館について。
写真が趣味ですので、カークさんのところも興味深く拝見しております。

投稿: landscape | 2006年5月29日 (月) 00:29

連続して掲載されているルポを興味深く読ませていただきました。
高輪、二本榎通りを建築や皇族の視点からとらえられているところに大変刺激を受けました。
街の歴史を古書の薄紙を一枚一枚丁寧にめくっていくようでわくわくしてしまいます。
「ミカドの肖像」も読んでみたくなりましたし、また、高輪に行ってみたくなりました。
続編も楽しみです。

投稿: カーク | 2006年5月28日 (日) 20:27

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