« 日本橋*日本橋高島屋 | トップページ | 閑話*サッカー・ワールドカップのこと »

2010年6月21日 (月)

閑話*電子書籍のこと

今話題の、iPadを操作している人を見た。
とりあえず、至近距離では初めてのことでもあり、気にならないといえば嘘になる。その軽やかな指使いを暫し眺めてみた。               

知的好奇心がくすぐられるであろうことは、誰が見ても明らかで、提供される膨大な数のアプリケーションには驚くばかりだが、携帯電話を使いこなすことを、どこかあきらめている私には縁遠い。

そういえば、電子手帳にはそれなりの合理性を感じて懸命に入力した時期があったけれど、いつしか積極的な意味を見失い、手書き手帳にUターンしていたのだから、なおさらである。ちなみに、電子手帳の住所録は、年賀状ソフトの住所録に姿を変えて生き残っている。

この話題のツールは、ネット接続を前提にした、広い意味でのプレゼンのツールであることは、何となく感じることはできる。何でもそうだが、使いこなす情熱と根気がキーになるところ。ツールとして使用すること自体が自己目的化する様な気もするけれど、もたらされる可能性との差し引きで考えればよいかなとも思う。自分とは縁遠いもので、視線が寛容すぎるかも知れないが。

同時に、「電子書籍」がクローズアップされていることが気掛かりではある。ディスプレイ上で、書籍のページを表示し、ページングをシュミレートしてみせることは難しいことではないだろう。それを携帯ツール上で行うことにより、より付加価値の向上を訴えることも自然な流れかもしれない。少し、古い表現ではオールインワンというところか。
当家では、個別機能に特化したものの方が長生きする傾向にある。

もとより、あたかもネットでのリンクを手繰るような編集の雑誌類は、積極的な対応を迫られることは容易に想像できるが、「印刷物」総体としては、「電子書籍」として代替を図られる分野は限られるのではないか。

単なるディスプレイ上を飾るデジタルデータとしではなく、印刷物としてのボリュームの存在がそこにあって、情報にアプローチすることを覚え、その存在を実感し、手に取る喜びを感じることもリアルな世界では実感できるものでもある。そこから、発展する思考が重要な気がするが、それは、検索エンジンで目的の情報(若しくはその断片)を探し当てる作業とは異質なものだろうと思う。

特に、幼少期にあっては考慮されるべきものだろう。

これは、ノンフィクションだけれど、もうひと月も前のこと。東京メトロの「東京まちさんぽ」に参加して、ゴールの月島駅から帰る有楽町線の車内でのこと。土曜の午後、空いた車内、私の前を横切った少女が二人分ほど空いた右側のシートに一人で腰を掛けた。背中からデイバックを下ろし、着ていた上着を自分の背中とシートの間に押し込むと、デイバックから、大判の書籍を取り出した。そこで、彼女は何の迷いもなく、頁を開いて文字を追うことに没頭し始めた。少なくとも、わたしにはそう見えた。横目で見ていると、頁には折り目が見える。時間を惜しみ、少しずつでも興味のある物語のストーリーを追っているのだろう。表紙には、古い潜水具を付けた数人の潜水夫の画があった。子供向けの空想科学小説だろう。表題もと思ったけれど、タイトルの英語は瞬時には読み取れなかった。ジュールベルヌのあの本かと、勝手に想像もしてみたが、ストーカーと疑われる前にその位で止めることにした。外国人の少女の姿であったが、何の疑いもなく自分の世界を持っているいるような姿に、新鮮な驚きがあった。

周囲を見渡せば、デジタル・ツールから溢れる出る情報に翻弄される日常は、何か息苦しくもある。そのような環境に児童をさらし、結果的にこれに適応させることの必然性は全く感じられない。

携帯電話のメールやブラウザで顔の見えないコミュニケーションにさらされ、握りしめたゲーム機で、ゲームメーカーが提供する世界を懸命に追う姿が子供の日常となる中で、地下鉄車内の少女の姿は、どこか救われた思いがした。

話が長くなったけれど、前述の少女が、携帯のデジタルデバイスのディスプレイを凝視し、子供向けの空想科学小説を追うことがあるのだろうか。私には、想像できないだけかも知れないが。

.

|

« 日本橋*日本橋高島屋 | トップページ | 閑話*サッカー・ワールドカップのこと »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/152557/48684904

この記事へのトラックバック一覧です: 閑話*電子書籍のこと:

« 日本橋*日本橋高島屋 | トップページ | 閑話*サッカー・ワールドカップのこと »