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2011年1月16日 (日)

年越しの雑感のつもりで その2

タイトルがいささか時季外れになりかけましたが、前稿は、結果として年末年始とは直接の脈絡はない文章になったことでもあるし、また、多少、書き残してもいましたので。

前稿では、今は高輪消防署二本榎出張所前の高層マンションの前庭として、オープンスペースになっているところに、かつてあった肉屋さんの風景の記憶について触れましたが、今回は、やはり、当ブログの初期の記事で触れているところですが、北側に軒を並べていた蕎麦屋さん、「新月」さんの記憶を付け加えたいと思います。

「新月」さんも、確実に高輪の記憶の一角を占めています。

当家は、出前と言えば「新月」さんの出前メニューを開きました。
中華の出前ならば「宝来」さんにもお世話になりましたが、
今回は「新月」さんについて。

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思い起こすのは昭和の風景ですが、とある商工団体のHPに、2000年(平成12年)時点での紹介記事がありました。そこには明治40年代の創業とあります。平成元年に二本榎通りの向かいに移転し、高輪消防署二本榎出張所の脇のビルのテナントとなったということ。現在は、そこからも撤退されたようなので、すべては、記憶の中だけの話になってしまいました。

そこは、小学校の頃からの通学路だったので、その前を通りすがるのが生活の一部でした。ある日、あの出前用の四角いお盆をセットする、真新しい「出前機」(若しくは配達機と言うらしい)を積んだスーパーカブが店頭に並んでいるのを目にして、目を見張ったのを覚えています。その働きは、即座には理解できませんでしたが、あの大仕掛けな装置が目を引きました。それ以前は、出前の自転車が並んでいたのか、記憶は遠く霧の帳の向こうで、既に手が届かないところにあります。

入り口には縄のれんがかかっており(普通の暖簾ではなかったような気がする)、店舗の窓枠にも、出前用の四角いお盆の縁を思い起こさせる「えんじ色」がアクセントになっていたような記憶があるのですが。

カレー・ライス(ライス・カレーだったろうか)にも、かつ丼にもグリンピースが載っていました。今でも、無いことはないかもしれませんが、そのスタイルが懐かしい。

カレーライスは、やや深めの丸い皿。ターメリックの色がやや強い、あのカレー色。甘みが勝った赤い福神漬け。具は三枚肉とタマネギだけだったような気がします。現在、主流の色の濃いカレーではなく、蕎麦屋で食べるカレーライスそのままでした。100%とは言えませんが、その味は舌の奥に蘇ります。出前の横長の四角いお盆から降ろされたカレーライスは、3、4粒のグリンピースが載り、カレーの表面に薄く膜が張ったような状態で目の前に現れます。複数であれば輪っぱに載って。多少、冷えると膜が張るのが、蕎麦屋のカレーだと思っていました。正直、外食ではそれ以外のカレーライスには縁がなかったのですが。スプーンをくるんだ紙ナプキンを外せば、子供心に、いつでも戦闘開始状態でした。

また、かつ丼は、子供にはその姿が圧倒的な存在で、目の前に現れると一種興奮を覚えました。閉まりきらないどんぶりの蓋を取ると、半熟の玉子で閉じられたとんかつのボリュームに、幸福感すら覚えたような気がします。そこには、やはり、3、4粒のグリンピースが載っていました。いまでは、三つ葉などが載っているべきものなのかもしれませんが、何か載っているべきならばグリンピースだろうと思います。グリンピース嫌いの方には大変恐縮ながら、私はそう思います。そして、香の物の小皿がついてくる。あの、店の屋号と電話番号が入った細長い紙が巻いてある小皿ですが、蕎麦の出前であれば、七味と薬味の葱が代わりに載っている、それもまた、特別な存在でした。

本来の蕎麦については、ざるや盛り、おかめ、きつね、毛色の変わったところで冷やし中華などいろいろ試しましたが、「たぬき蕎麦」の味と、その彩りの記憶がいちばん鮮やかなものかもしれない。なるとや、色鮮やかなほうれん草が載っていたように思います。あの細かな揚げ玉が、めんつゆを含んで溶けるような舌触りが、何とも言えなかった。やはり、蕎麦なら「たぬき蕎麦」だった。

配達は、いつしか前述の出前機(配達機)を乗せたスーパーカブになり、玄関前に着く音は、待ちかねた子供にとっては、どこか刺激的でした。たぶん、いちばん古いであろう記憶では、温かい蕎麦のどんぶりには、縁がついた塗りの木製の蓋がかぶせてあったかと思います。いつしかそれもサランラップに替わりました。

以上の風景は、前述のHPの記載によれば、平成元年までがひとつの区切りだったのでしょう。その後、大きく姿を変えた街角の変遷は見る機会がありませんでしたが、私とすれば、それはそれでよかったと思います。

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